恋色カフェ
動揺
■□■□■□■
「高宮さん、彼氏いるんすよねー……。
いなかったら立候補しようと思ったんだけどな」
最初の挨拶の時、店長に名指しされていた勝沼(かつぬま)君が、私の目の前にコーヒーのカップを置きながらそんなことを言った。
「えー。年上なんか興味ないでしょ」
今、閉店後の店内には、勝沼君と私の2人だけ。
片付けで最後まで残っていた勝沼君が、同じく仕事が終わらず残っていた私に
『残ったブレンドコーヒー、捨てるの勿体ないんで飲みに来ないすか』
と、誘いに来た。
店長から名指しされるだけあって、女の子に気を持たせるような台詞は言い慣れているんじゃないか、と感じる。
「そんなことないっすよ!
俺にとって、年上はかなり魅力的な存在っすから」