恋色カフェ
「アンバーに来てから、コーヒーの魅力に気づいたというか、憑りつかれたっていうか。
気がついたら、いつもコーヒーのことばっか追いかけちゃってるんすよ」
店長と同じ目をする勝沼君を、羨ましいと思ってしまう。
真っ直ぐ視線を向けていられなくなって、私は切り分けたチキンを口に入れる為だと誤魔化しながら、目を伏せた。
「俺、大学には入ったものの、情けないことに、この先どうしたいかなんて全然考えてなかったんで……」
「私もだよ。商業高校出た後、ただその流れってだけでビジネス専門学校にいったけど、そういう仕事に就きたかった訳じゃなかったし」
実際、専門学校を卒業した後就職したのが、このアンバーだ。……親から散々愚痴られたのは言うまでもないけど。