恋色カフェ
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事務所を出て、階段を駆け下りる。フロアに続く通路で、勝沼は立ち止まった。
俯き、さっき換えたばかりのエプロンを見つめる。彗が倉庫から持ってきてくれたもの。
今、自分の思考を誰かに覗かれでもしたら、恥ずかし過ぎて死ぬ。人間がそういう生き物じゃなくて良かった。
そんな馬鹿げたことを考えてしまうくらいの甘酸っぱい想いが、心の中に渦巻いている。
勝沼は一つ息を吐き出し、フロアへと足を踏み出した──。
そもそもの発端は、勝沼がパニーノの調理をしている時だった。
アンバーでは、ホールスタッフが簡単なフードの調理とドリンクを担当している。