恋色カフェ
回顧
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「……え……っ」
びっくり、した。
いつもと違う光景に、入口で足が止まる。
外は朝から気持ちのいい風が吹いていた。事務所に行ったらまず窓を開けよう、この気持ちのいい風をあの部屋にも入れたい、そう思っていたのに。
そんなの、全部吹き飛んでしまった。
「寝て……る」
近づけば、小さな寝息が聞こえる。
あーあ、こんなに散らかしちゃって。スタッフが既に何人か出勤していたけど、誰も起こさず、この人も気づかなかったんだろうか。
──でも。
このまま、見つめていたい、なんて。
私はいつかの、部屋のソファーで眠る彼の姿を思い出していた。