恋色カフェ
廊下でカタリと音が鳴り、肩が上がる。こんなところを誰かに見られでもしたら、また何を言われるかわからない。
私は眠っている店長の肩を恐る恐る叩いた。
「店長……」
「…………ん」
艶めいた色を含んだ声に、思わずドキリとする。一度深呼吸してから、私はもう一度肩を叩く。
「あの、起きて下さい」
「……ん……っあ、高宮さんか」
「そろそろみんな出勤してきますよ」
「もうそんな時間? うー……ダメだ眠い」
「ここに、泊まったんですか?」
「ん、というか、6時まで作業してた」
「えっ、ほとんど徹夜じゃないですか」
「明日業者が入るから、その前にいろいろ終わらせなくちゃいけなくてさ」