恋色カフェ


アンバーの周りには、コンビニが2軒ある。徒歩1分もかからない近場と、徒歩5分程の場所。

私はあえて、徒歩5分のコンビニでそのドリンクを買った。



近場のコンビニで買わなかったのには明確な理由がある。

そのことは誰よりも、店長が一番よく知っている。3年前も今も、全く理由が変わっていないことも。



「ありがとう、後で飲ませてもらうよ」


口に出なかったのが奇跡だと思うくらい、驚きと疑問が綯い交ぜになった声が、頭の中で大きく響いた。胸に、刃物が刺さったような痛みが走る。


──どうして。

店長が万由さんの嘘を見抜けない筈はないのに。


< 362 / 575 >

この作品をシェア

pagetop