恋色カフェ
「言いたくなければ言わなくていいんすけど……なんで別れた彼が、わざわざアンバーに?」
考えている間に、勝沼君の方が口を開き、そう私に訊いた。
「ご飯、食べようって」
「あの……別れる時、揉めたりはなかったんすか?」
「……特には」
「もしかして、俺の思い違いで余計なことしちゃったんじゃ、」
「余計なんかじゃないよ。あの人の様子がおかしかったのは本当だろうし、私は行きたくなかったから、勝沼君が来てくれて本当に助かったの」
「なら、いいんすけど……」
勝沼君は渋い顔をして、頭を掻いている。
「……別れる1年ぐらい前から、ずっと私がご飯奢ってて」
「えっ……まじっすか」
「ああ、だから行きたくなかった訳じゃないんだけど……」
「いや、それ十分理由になるって」