恋色カフェ
「……彗さんって、前から店長のことが好きだったんすか」
勝沼君の様子から、間違いなく呆れられたのだと思っていた。でも、どうやらそうではなかったらしい。
もう一度目の前の彼は息を吐いて、俯いたまま目線だけを私に向けた。
「話してなかった、よね……」
「初めて聞きました」
「……ごめん」
何に対しての、ごめん、なのか、自分でもよくわからない。思わずそれが口を衝いて出たのは、どこか、後ろめたい気持ちがあるせいだ。
「前は、理英さんがいましたよね」
「……うん」
「それでも、好きだったんすか」
言葉を詰まらせた私に勝沼君は、別に責めてる訳じゃなくて、と付け足す。
「…………だから、忘れようとしたの」