恋色カフェ

自覚


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店を出ると、辺りはすっかり暗闇に包まれていて、街灯のオレンジの光が店に来た時よりも存在感を増している。


私に途中で話を切られた勝沼君は、一瞬何か言いたそうな顔をこちらに向けたものの、一言も発することなく黙って席を立った。



勝沼君が「携帯、アンバーに忘れてきた」と言うので、今、彼と私は元来た道を辿っていた。

てっきり、話の続きをされるものだと思っていたのに、勝沼君は黙ったまま私の半歩前を歩いている。


──沈黙が、痛い。

車のタイヤがアスファルトを蹴る音、すれ違う人の声。確かに耳に入っている筈なのに、どの音も届かず、まるで海の底にでもいるような静けさが、私を包んでいた。


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