恋色カフェ
「ちょっと、いつの間にそんなに仲良くなったのー?」
万由さんのからかい口調は止まらない。よくもまあ、ここまでわざとらしく言えるものだと、逆に感心してしまう。
──それよりも。
今、店長はどんな顔をしているのだろう。
従業員口の方を向いているせいで、ここからだとよく見えない。でも、本当に店長の顔を見たいのか、と誰かに問われれば、見えなくてホッとした、と答えるような気がする。
もしも笑顔なんか見せられたら、きっと立ち直れない。
「どうした、もう鍵かけたぞ」
店長がこちらに振り向きながらそう言った。私は慌てて視線を地面へと逃がす。
「あー、携帯、ロッカーに忘れたんで」
「鍵は持ってるな?」
「はい」