恋色カフェ
◇白む空
前兆
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ゆうべ、なかなか寝付けなかったからか、目を覚ました時にはもう、朝と呼べる時間帯では無くなっていた。
滅多に無い平日休みなのに、勿体ないことしちゃったな。
そう思う一方で、今日はずっとこのままベッドに沈んでいてもいいか、なんて。
「……そういう訳にはいかないか」
実家にいた頃、休みでも容赦なく母に叩き起こされていたせいで、今でもダラダラと過ごすことにどこか抵抗を感じてしまう。たまには何もしないで1日を終えたっていいと思っているのに。
重だるい身体をシーツから引き剥がし、フローリングの床へ足を下ろす。湿気が酷く、ベタベタしていて気持ちが悪い。
そう言えばゆうべ、靄がかかっていたな、と思い出したのは。
見上げた街灯の、オレンジの光──と、別れ際の、勝沼君の顔。