恋色カフェ
相変わらずセンスのいいディスプレイは、さすが、としか言いようがない。店長が飾ったのだろうか。それとも、昨日も万由さんが……。
「凄いだろ」
「……店長」
後ろを振り返ると、店長が嬉しそうな顔で立っていた。
「俺にしては、頑張ったと思わない?」
──再会してから、頑張っている姿しか見ていませんよ。
そう言いたかったのに。
店長は他のスタッフに声を掛けられ、そちらに行ってしまった。
壊れ物を扱うようにそろりと、開けていなかったチェストの引き出しを開けてみる。
(白い、ハト……)
そこにはアンバーでは定番の、宇津木屋の巾着が入っていた。白いハトの刺繍を見つけ、3年前の手帳のことを思い出す。