恋色カフェ
──あれから5分程が経過した。
こちらには何の連絡も入らない。てっきりすぐ、本人に連絡して、と指示が来るかと思っていた。それとももう、万由さんに連絡がついたのだろうか。
落ち着かなかった私は、ここに居ても仕方がない、と事務所を出ようとしたところで、内線音に引き留められた。
《高宮さん?》
電話越しに店長の声を聴いたのは、いつ以来だろう。一瞬、声が詰まった。
「……はい」
《さっきそっちにも連絡いったと思うけど》
「万由さんのこと、ですよね」
《そう》
「連絡ついたんですか?」
《……あのさ》
「はい」
《エプロン着けて、高宮さん、下に降りてきてくれない?》
「……え」
どういう、こと……?