恋色カフェ
行き場のない気持ちを持て余しながら見つめていた、森谷店長の後ろ姿。
優しい笑顔を向けられる度、どうしようもなく募った想い──。
自分のエプロン姿を見ると、3年前の思い出が、気持ちが、蘇ってくる。
「──来たな」
肩を跳ね上げた私を見て、むこうも一瞬驚いた顔をしたものの、そう言って面白そうに口角を上げた。
開けようとした扉が不意にフロア側から開けられ、思いがけず、店長と見合う格好になった。
もしかしてこの人は、私のところへ来ようとしていたのだろうか。
さっきから駆け上がったままだった鼓動は、更に加速をみせている。それでも、なんでもないふりをしようとしてしまうのは、もう癖のようなものかもしれない。