恋色カフェ
「あの……」
「久しぶりだな。高宮さんの、その姿」
店長は私の言葉を遮るように、ニヤリと笑みを浮かべたままでそう言った。
──私に、何も言わせない気?
「今日はリニューアルオープン初日だから、俺はキッチンのヘルプに入らなくちゃいけないんだ。
高宮さんは、フロアの経験があるから大丈夫だろうと思ってね。急で申し訳ないけど頼むよ」
「それは、いいんですけど……」
私の様子を見てさすがに観念したのか、店長は髪を掻き上げながら小さくため息を吐いた。
「……なに?」
「万由さんは……」
「無断欠勤だろうね」
「だろうね、って、連絡取らないんですか?」
「フロアのやつらが代わる代わる土屋の携帯に連絡したけど、全く繋がらなかったってさ」