恋色カフェ
「役に立つかはわからないけど、一日よろしくお願いします」
「彗さんなら大丈夫ですよー」
怜ちゃんに笑顔を向けられ、少し緊張がほぐれる。3年のブランクは、私を不安にさせるには十分な長さだ。
簡単に、一通り説明を受けているうち、お店はお昼時に差し掛かって混雑し始めた。
怜ちゃんともう一人のスタッフは、お客様につかまり接客している。私は訊かれても困らないようにと、資料を見る為スタッフ用の棚に向かった。
この棚は私がフロア業務をしていた時からあるものだ。つい懐かしくなって、資料が置かれている場所以外の引き出しも開けてみる──と。
(あれ……)
感じた、違和感。
記憶は断片しか残っていない。それでも“何となく”わかる。