恋色カフェ


正社員ということもあり、この棚は以前、私が管理していた。自分なりに工夫を凝らし、フロアのみんなが使いやすいように整えたつもり、だった。


(違う……)


大まかなところでは変わっていないものの、以前よりも明らかに使いやすく整えられている。スタッフも変わっているのだから、当然といえばそうだ。自分のしたことがベストだったとか、そんなことを言うつもりも無くて。


──────能力の、差。

容赦なく、彼女に見せつけられる。……私には、思い付けなかった。



改めて、店内を見回してみる。

艶消しのアンティーク感が漂うテーブルには、半磁器の白いカップがやっぱりよく似合っている。


まるで、一緒にあるのが当然だというように。



(……一緒が、当然)


なんで、気づかなかったんだろう。


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