恋色カフェ
「疲れたでしょ。怜ちゃん、私の面倒までみなくちゃいけなかったから」
「そんなことないですよ。彗さんをフォローすることはほとんど無かったですし」
怜ちゃんはそう言って微笑むと、アイスコーヒーを口にする。
私もカップに口をつけた。冷たい刺激が喉から体全体に染み渡っていく。やっぱり店長の淹れたコーヒーはアイスにしても美味しい。そう言えば今日は、全然飲み物を口にしてなかったな、と思い出した。
「でも……どうしちゃったんでしょうね、万由さん」
「……うん」
怜ちゃんの視線の先にあったのは、万由さんの私物のペンケース。整理棚にポツンと寂しく置かれている。きっと準備に追われて、忘れていってしまったのだろう。
お客様から見えるのもどうかと思い、私は、ここに入れておくね、と引き出しの中にそれを仕舞った。