恋色カフェ
「彗さんは、いろいろあったから……万由さんのことは“嫌な人”になっちゃってるかもしれないですけど」
喉が、詰まった。
何も言葉が出てこない。「そんなことないよ」と言うのは、さすがに嘘つきすぎる。
「私は今まですごく万由さんにお世話になったんで……こんな形で万由さんがいなくなってしまうとしたら、正直辛いです」
俯いて、寂しそうな顔をする怜ちゃんに何て声を掛けたらいいのか、やっぱりわからない。
私は言葉も無く、彼女の肩にそっと手を置いた。
怜ちゃんは私を見て、困ったような顔で笑っている。
残りのアイスコーヒーを口に含む。氷が融けて薄くなっている筈なのに、さっきより苦く感じた。