恋色カフェ


「彗さんは、いろいろあったから……万由さんのことは“嫌な人”になっちゃってるかもしれないですけど」


喉が、詰まった。

何も言葉が出てこない。「そんなことないよ」と言うのは、さすがに嘘つきすぎる。


「私は今まですごく万由さんにお世話になったんで……こんな形で万由さんがいなくなってしまうとしたら、正直辛いです」


俯いて、寂しそうな顔をする怜ちゃんに何て声を掛けたらいいのか、やっぱりわからない。


私は言葉も無く、彼女の肩にそっと手を置いた。

怜ちゃんは私を見て、困ったような顔で笑っている。



残りのアイスコーヒーを口に含む。氷が融けて薄くなっている筈なのに、さっきより苦く感じた。


< 438 / 575 >

この作品をシェア

pagetop