恋色カフェ
「使いづらい訳じゃないんすよね?」
「……え?」
「いや、ちょっと違うだけでも嫌だって人もいるから。大学の仲間に、同じブランドの同じ型のスニーカーを買ったのに、微妙に違ってて履きづらい、って騒いでた奴がいて」
勝沼君の思いがけない台詞に、戸惑う。
──使いづらい?
私はエプロンのポケットに手を入れてみた。小さいかたまりが指に当たる。さっき怜ちゃんにもらったガムが入れっぱなしだ。そう言えば前はここに、お気に入りのボールペンを挟んでいたっけ。
──どこにも不都合なんて、ない。
「……使いづらくない」
「そんな、わざわざポケットに手を突っ込んで確認しなくても」
勝沼君は私の行動が可笑しかったのか、思いきり笑いこけている。