恋色カフェ
泣きそうだ。でも、泣くまいと必死で堪える。
「……勝沼君は、本当に優しいね。やっぱり、私には勿体ないよ」
私が何か言う度に、また勝沼君を傷つけている気がする。慎重に言葉を選んでいるつもりでも、それが最善かどうかなんてわからない。もう傷つけたくない。
──口を開くのが、怖い。
「俺は……」
勝沼君は、苦しそうな、辛そうな顔を見せた。
「彗さんが思っているような、綺麗な人間じゃないっすよ」
「勝沼君は綺麗だよ」
「違う!」
「、……」
「……卑怯で、汚い人間だから」
「そんなこと、」
「彗さんは前に、人を利用するようなことをしたから俺とは釣り合わない、って言ってたけど」
勝沼君は苦しそうな顔のまま、ニヤリと口角を上げた。
「卑怯で汚い俺なら、釣り合う……?」