恋色カフェ
────そういうこと、か。
店長が私を呼んだ理由がわかって、肩に入っていた妙な力が抜けた。
「……いえ。1時間おきぐらいに連絡したんですけど、一度も繋がりませんでした」
「……ふーん」
ほらみたことか。何だかそう言われたような気がして、悔しさが込み上げる。この人は万由さんのことが心配じゃないんだろうか。
万由さんとあんなに、あんなに今まで仲良さそうに────。
「多分……いや、ほぼ間違いなく、土屋はもう店に来ないよ」
え、と思わず驚きの声を上げた。
「来ない、ってどういう……」
「どういう、って、そのままの意味」
違う。そういうことを聞きたいんじゃない。……本当はわかっているくせに。
店長は、質問は受け付けないとでも言うように、窓の方へと向き直る。その背中に浮かんだ拒絶を、私は恨めしく見つめた。