恋色カフェ
「彗ちゃんは聞くべきだと思うから、話すんだけど」
改めて煕さんからも聞いてね、と前置きしてから、理英さんは話し始めた。
「まず、私達が離婚した理由、なんだけど。本当に聞いてない?」
「アンバーのスタッフからは、少し」
「どんな?」
躊躇いを隠せずにいると、理英さんは大丈夫とでも言うように、柔らかく微笑んだ。
「……店長の、女遊びが酷くて、とか」
やっぱり、と言って、理英さんは笑う。
「そうだろうとは思ってたけどね」
「違うんですか」
「ぜーんぜん。そんな理由じゃないわよ」
クスクスと笑みを零しながら、理英さんはコーヒーを口にした。
「私達ってね。見合いでも恋愛結婚でもなくて、親同士が勝手に決めた結婚だったの」
「えっ」
「時代錯誤も甚だしいわよねー。こんな、自由恋愛が普通な世の中で」
理英さんはそう言って、ケラケラとまた笑っている。