恋色カフェ
なんだ。万由さんのことが訊きたかったのか。そう思ったら、少しだけ肩の力が抜けた。
「……そう、みたい」
とは言え、こういう事情を人に話していいものか迷う。私は、ここまでなら許されるだろう、という当たり障りのない返答だけで止めておいた。
「さしずめ、店長に告ってこっぴどく振られた、ってところでしょ」
いとも簡単に言い当てられてドキリとする。勝沼君は私の様子を見て察したらしく、図星か、と呟いた。
「あいつ……やっぱり、最初から万由さんに復讐するつもりだったんだな」
「……それ、どういう、こと?」
ようやく顔を上げた勝沼君は、渋い顏をこちらに向けた。
「慰労会の日、彗さんが酔って潰れてた時。店長から、噂の出処を教えろ、って言われたんだよね」
すげー形相だったから、言わざるを得なかったんだけど、と勝沼君は苦笑いを浮かべる。
「彗さんを苦しめた万由さんがどうしても許せなかったんだろうけど……やり方がえげつないよ」