恋色カフェ
――そうだったんだ。
そういえば理英さんからもらった名刺に、住所も書いてあったかもしれない。
「理英さんから、離婚の経緯もそれまでのことも聞きました」
「……そう」
「今までいろんな人から聞かされてきたことと全く違うので、驚きました」
「別に、誰彼構わず言う話じゃないからね」
「……私にも、ですか?」
それは……と言いかけて、店長は口をつぐむ。
「……煕さんは、私のこと好きですか」
私は敢えて名前を呼び、彼を真っ直ぐ見据えた。
店長は虚を衝かれたといった顔で、こちらを見ている。
「ずっと、不安だった。煕さんが、私のことをどう思っているのかわからなくて……」
だめだ、涙が出そうだ。でも、ここで泣いちゃいけない。ぐっと、奥歯を噛み締めて堪える。
「私は、煕さんのことが好きです」