恋色カフェ
アンバーに戻ってきたばかりの頃、店長に訊かれて私は「好き」だと答えた。だから、告白するのはこれで2度目。
だけど――あの時とは、全然違う。
駆け引きなんか関係ない。これはただ、伝えたいだけの「好き」だ。
店長は何も言わず、私から顔を背ける。それを見て、ツキン、と胸が痛んだ。
もう手遅れだった、か。
それも仕方がない。でもやっと、ちゃんと、素直に気持ちを伝えることが出来た。
さすがに顔を上げているのが辛くなって、俯く。踵を返して、事務所を出ようかと思った、刹那。
カタリ、と耳に入った小さな物音。
何の音だろう。
気になって顔を上げようとした、その時――――。
煙草と、コーヒーの甘く苦い香りが、私を包んだ。