恋色カフェ
「…………え……」
口からも、思わず驚きが漏れてしまった。
どうして、とか、もっと食い下がった台詞が来るかと思っていたのに……。
ここが騒がしい飲み屋街だったおかげか、私の声はどうやら秀人に届いてなかったようで、安堵する。
あまりに簡単な返答にその後の言葉を失っていると、ようやく不思議そうな顔を向けられ、慌てて言葉をかき集めた。
「あ……あ、じゃ、」
「……あぁ」
「……今まで、ありがとう」
「……あぁ。……じゃあな」
結局、最後の最後まで、秀人は携帯の方へ意識を向けたまま、私の前から立ち去って行った。
──あっけない。
ほんと、あっけない幕切れ、だ。