恋色カフェ
甘美
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アンバー近くの駐車場に着くと、店長は助手席のドアを開け、私をエスコートするように車に乗せる。いつもと違う雰囲気に、どうにも戸惑う。
店長も直ぐに車に乗り込み、完全に2人だけの空間が出来上がってしまった。弥が上にも緊張が高まって、何だか逃げ出したい気分……。
エンジンがかかり、更に緊張の波が襲う。――が、車は何故か、走り出す気配がない。
不思議に思って店長の方を見ると、彼はハンドルに凭れ、真正面を見据えたままだった。
「……あの」
「あのさ」
また、声が重なる。私が黙り込むと、店長はそのままで続けた。
「二者択一」
「……え?」
「これから、俺の家に行く。嫌なら、彗の家に送って行く。どっちがいいか、答えて」
突然突き付けられた、二択問題。
強引にここまで連れてきたくせに。ここにきて、急に何を言い出すのか。