恋色カフェ
「シ、シャワー浴びたい」
「……へえ」
「へえ、って」
「聞くだけ聞いとく」
「アイリッシュコーヒーだって、冷めちゃう……」
「後で、新しいの淹れてやるから」
「あの、ここだと、落ちそうだし……」
これ以上、欲に溺れた声を聞かれたくなくて、矢継ぎ早に言葉を投げかける。
店長は一度小さくため息を吐くと、体を起こした。
「……やめたい?」
髪を掻き上げる仕草が目に映って、そのあまりの色気に眩暈がした。
「彗が嫌なら、もうしないよ」
彼の指が、私の髪に触れる。そのまま頭を撫でられ、私は安心感と心地良さに包まれた。
「嫌じゃ……ない」
私の答えに、店長は淡く笑って。
私を引き寄せると、甘いキスを落とした。
「……俺が、今どんな気持ちでいるか、知らないだろ」
あっという間にまた押し倒され、瞼やら頬やらに、キスの雨が降り注ぐ。
「俺がどれだけ、彗のことが好きか……」
耳許で囁く声も、甘く。
「この気持ちを言い表す言葉が無くて、ずっと口に出来なかった」
「……、」
「不安にさせて、ごめんな……」
涙が一筋、私の頬を滑る。
店長はくすりと笑って、その涙を指で拭うと、優しく私の肌に唇を落とした――――……。