恋色カフェ
何気なくベッド脇を見ると、小さな卓上カレンダーが目に入った。
(あ……)
そういえば、あらゆる締日が近づいているんだった。
昨日は終日フロアにいたから、更にタイトなスケジュールになってしまっている筈。アンバーに行ったら、優先事項を再確認しなくては。
そんな風に仕事のことを考えたら、甘い余韻なんていうものは一瞬にして吹き飛んでしまった。残ったのは、シビアな現実だけ。
自分がまだ学生だったら、こんな時、余韻に浸ってふわふわした心地でいられたのかな。
ふう、とまた小さくため息を吐いて、下着を身に着ける。
店長との関係を進める、ということじゃなくて。
本当の意味で、私は今までの場所から一歩踏み出せたんだろうか――。
私は先に店長の服を拾い上げ、ざっくりたたんでとりあえずベッドの足元に置いた。
自分の洋服を拾い終わった時、何やら太腿の辺りがゾワリとした。
「きゃっ」
ふと見ると、布団から伸びた指が私の太腿に触れている。