恋色カフェ
喉が乾いて、冷蔵庫から水を取り出し、口に含む。
「美味しい……」
一口目の水は、甘く感じる。
何度も何度も、その甘さを求めて流し込んでいるうちに、何も感じなくなっていく。これはただの、水、だと。
薄っぺらにさせたのは、誰でもなく、私。
秀人は、甘さを求めて欲して、飲み込んでいるうちに、それがいつまでたっても特別な水にはならないと気づいたのかもしれない。
お互いに、利用しあって。どんどん薄っぺらになって。
気づいた時には、少しの風で吹き飛ぶ程になっていた……。
これで良かった、なんて、たとえ口が裂けても言える訳ない。そんな、身勝手なこと、なんて。