恋色カフェ
私は、前にアンバーで働いていた時、毎日、手帳に短い日記をつけていた。
ペラペラとページを捲って、アンバー最後の日、を探す。
──手が止まった。
そこで途切れ、空白が続いている。一目瞭然だった。
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アンバー退職。
今日で、全ておしまい。仕事も、恋も。
後悔したくなくて、私は最後、あの人に告白まがいの台詞を言ってしまった。
それで何が変わった訳でもなかったし、変わらないでいてくれたことにホッとした。
だって、進んではいけない恋、だったのだから。
苦しいけど、これで良かったんだ。
もう、あとは封印するだけだ……。
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その日記を読んで、私は酷く苦い痛みを完全に思い出した。
あの日──私は偶然、森谷店長と2人きりになるタイミングがあった。
衝突してからというもの、仕事以外では話していなかったから少し怖かったけど、今しかない、と。
私は思い切って声をかけたんだ──。