恋色カフェ
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「お、はようございます」
構えてはいたものの、事務所の扉が開いた音にびくりとして、挨拶の声が不自然に上擦ってしまった。
あんな深いキスをした後で、今朝はさすがに顔を合わせづらい。
しかも、逃げてしまった訳だし……。
「おはよう」
いつもと何ら変わりなく、森谷店長は挨拶を返す。
──この人は、何とも思っていないのだろうか。
いやもちろん、今ここには他の従業員もいる訳だから、普通にしなくちゃいけないのはわかるけど。
恐る恐る、店長を横目で伺っていると、不意に視線が合って、慌てて逸らした。
心臓が煩くてしょうがない。