恋色カフェ
店長はそれからすぐ、万由さんに呼ばれてフロアに行ってしまった。
おかげで、まともに息が吸えるようになったものの、やっぱり落ち着かない。
どう、すればいいのだろう。やっぱり話すべき、なんだろうか。
秀人と別れたのは、店長とどうにかなりたいからじゃない。これだけは、嘘偽りなく本当だ、けど……。
がちゃりと扉が開く。この音、今日はいちいち心臓に悪い。
事務所に顔を見せたのは森谷店長ではなく、勝沼君だった。
「どうしたんすか? そんな、ビックリした顔して」
「あ……ちょっと、考え事してたもんだから……」
仕事中に考え事なんてダメだよねー、と私は何とかその場を取り繕った。