恋色カフェ
「誰もいなかったんすから、問題ないっすよ」
勝沼君は笑顔でそう言いながら、店長の机の上の物を持ち上げたり、何かを探している様子を見せる。
「何か、探してるの?」
「あぁ、店長に頼まれたんすけど……」
「どんなもの?」
「この間のレシピの紙、って言うんすけど、アバウト過ぎっすよね」
「多分それなら、2段目の引き出しかも」
私がそう言うと、勝沼君はすぐに机の2段目の引き出しに手を掛ける。
「あ! あったっす! さすが高宮さん、よくわかってるっすね~」
「ううん。この間、店長がそこに入れたのをたまたま見てたの」
私は、店長が以前から、大事なものは2段目の引き出しに入れることを知っていた。
もちろん、この間入れるところを見たというのも本当だったけど。