恋色カフェ


「誰もいなかったんすから、問題ないっすよ」


勝沼君は笑顔でそう言いながら、店長の机の上の物を持ち上げたり、何かを探している様子を見せる。



「何か、探してるの?」

「あぁ、店長に頼まれたんすけど……」

「どんなもの?」

「この間のレシピの紙、って言うんすけど、アバウト過ぎっすよね」

「多分それなら、2段目の引き出しかも」


私がそう言うと、勝沼君はすぐに机の2段目の引き出しに手を掛ける。



「あ! あったっす! さすが高宮さん、よくわかってるっすね~」


「ううん。この間、店長がそこに入れたのをたまたま見てたの」



私は、店長が以前から、大事なものは2段目の引き出しに入れることを知っていた。

もちろん、この間入れるところを見たというのも本当だったけど。


< 61 / 575 >

この作品をシェア

pagetop