恋色カフェ
「……はい」
店長の声色を探りながら、恐る恐る返事をする。何を言われるのか、次の言葉が、怖い。
「宇津木屋の巾着、さっき大量注文が入ってさ。
あとで土屋さんが詳細持ってくると思うけど、問屋に発注かけといて」
「わかりました」
何だ、仕事の話か。構え過ぎもいいところだ、なんて、心の中で自嘲しながらそう言って店長の方を見れば。
「やっと、こっち見たな」
……完全に、油断した。
店長はニヤリと、口角を上げてこちらを見ている。
「ひ、必要があればもちろん見ますよ」
「必要なくても、こっち見てよ」
「……い、言ってる意味がわかりません」