恋色カフェ
「いえ……別に」
今度は隠しようがない程、ふて腐れた声を出してしまった。
まぁいいや、と言って、店長はやっぱりクスクスと笑っている。
「ところで、残業になりそう?」
「あ……はい。終業間近に、大量に書類を見つけてしまって」
「そうか」
「……まずいです、か?」
アンバーで働き始めてから、定時で帰ったのは数えるくらい。世知辛い世の中、残業代だって会社にとってはバカにならないものだろう。
急ぎじゃないし、明日に回せば済むこと。でも、月末の締めも近づいていて、なるべく翌日に仕事を持ち越したくない。
「あの……残業代はいりません。サービス残業なんて、他の会社じゃ普通のことですし」