恋色カフェ
「いや、うちではそう言う訳にはいかない」
「でも……これを明日に回したくない、っていうのは、私の勝手な都合なんで……」
店長は煙草を灰皿に押し付けると、小さくため息を吐く。
「いや、いつも高宮さん、定時で上がれてないから、大丈夫か、って心配しただけ」
「え……」
「残業代なんて、何の問題も無いよ。溜まってた仕事を、一生懸命こなしてくれているんだから」
店長は微笑を見せて、また、新しい煙草に火を点けた。
「でも、高宮さんが気になるって言うなら……
今日は、俺が直接残業代を支払うっていうのはどう?」
「え、それじゃあまり意味が……」
「“現金”じゃなく、“現品”支給で」