恋色カフェ



現品支給、って何だろう。


気になって、仕事の手が時折止まってしまう。この大量の書類、今日中に片付けなくちゃいけないというのに。

店長に訊いても、まぁいいから、と教えてはくれなかったのだ。


次々、遅番のスタッフが帰っていく中、私は閉店ギリギリになってようやく、仕事が片付いた。



「じゃ、お先ー」


今日の締め当番のスタッフが、いつもよりも早く事務所に姿を現したものだから、つい、怪訝な顔を向けてしまう。



「あ、店長が、あと俺がやる、ってさ」

「あ……あ。そうだったんだ」


お疲れ様、とそのスタッフを送り出してから、私は重大なことに気づく。




──店長と、2人きりになってしまった。



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