恋色カフェ
「今度、ランチに追加で付けられるデザートをこれにしようかと思ってさ。要は試作品なんだけど」
小さなプレートに乗せられた、ティラミス。
「このティラミスって、店長が作ったんですか……?」
「そう。デザートはそれ程得意じゃないんだけどね」
森谷店長は、私が離れていたこの3年の間に、調理師の専門学校に通い、調理師免許を取得していた。
今や、お店で出すメニューは全て店長のレシピだというから、驚きだ。
「これが……残業代?」
「不満?」
「い、いえ、そう言う意味じゃなくて……」
「ある意味、特別待遇、なんだけどな。
だって、高宮さんがこのティラミスの試食人第一号だから」