恋色カフェ
「……店長が本気なら、抵抗しませんよ」
口から滑り落ちた言葉は、店長を瞠目させた。
息苦しさの中、私はだらりとさせたままだった手を、躊躇いつつも持ち上げて
──店長の背中へと、回した。
「……私、
この間、彼と別れました」
店長はもう一度目を丸く見開き、私を覗き込む。
「本当……?」
頷いて見せると店長は、ふ、と息を吐いた。
「俺のこと、好き?」
口許に余裕を浮かべたその顔が、憎たらしい。
……憎たらしい位に、綺麗で、愛おしい。
「どうなの?」
「店長は、どうなんですか……。まだ、さっきの答え、聞いてません」
絶対、先に答えてたまるか。
私は睨むように彼を見上げた。