恋色カフェ


秀人への罪悪感に苛まれながらも、この、手に入る筈のなかった愛しい熱を、絶対離すものか、と思ってる。


私も……ズルい女、だ。


でも、何と言われようとも、再び零れ出してしまった時の砂は、もう止められない。



「そばにいて、これからもこうして“俺を元気づけて”よ」


彼は、耳朶に息がかかる程の近さで、囁く。

ティラミスなんかより、甘い言葉で。



「じゃ、ちゃんと捉まえていて下さいよ」


ふわふわ、どこかへ飛んで行ってしまいそうなこの人をとどめたくて、少々強気な女を演じてみる。余裕だと、思わせたいから。


森谷店長は、ふ、と小さく笑みを零すと、了解、と言って、また甘いキスを落とした。



落ちゆく砂のように、私はキスを重ねる度、愛しい人へと落ちていく。


甘く、スパイシーな“シークレット”の香りに包まれながら──。



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