Mirror World
紅色の姫君は
少女は可愛らしい笑顔で横に座った。
横顔が更に少女を輝かせる。
緊張の鼓動、戸惑いが僕を混乱させてきた。
風が少女の長い赤毛を靡かせる。

「あの‥名前、教えてくれませんか?」

何故か前振りもなしで名前を尋ねた。
少女はクスッと微笑んで、僕の顔をじっと見つめた。

「私、ラピスと申します。貴方は?」
「僕は優兎。可愛い名前だね」

礼儀正しい、ラピス。
さっきとは違う感じで、一段と大人びている。
ラピス‥この子、貴族かな?

「有難う。優兎さん、貴方は「ラピス姫!!!」

ラピスは何か言いかけた。
けど、ある一人の兵士によってかき消された。
(ラピス姫!?)

「クイーン様がお呼びです」
「分かったわ。それでは失礼しますね、またお会い出来れば光栄です」

眩しい笑顔を咲き誇らせた。
それと同時に一目惚れ、という単語をくっきり覚えてしまった。
本当に可愛かったよ、あの子。

ラピスが去って、僕は更に歩くことにした。
すると、お城の近くに来ているのではないか。
(避けたつもりだったんだけど‥)
僕は身を潜めながら一歩、一歩、足を運んだ。
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