Mirror World
「スペード、俺は案内人だ」
と、スペードの騎士の左肩をぽん、と軽く叩いて通り過ぎた。
どんどん近づいてくる案内人。
頼む、お願いだから近づかないでくれ‥
「優兎」
案内人は冷静に呟いた。
さっきとは違う、優しい手のひらで僕を迎えた。
「出会ったばかりなのに、変なの見せてごめんな」
「ううん、大丈夫だけど‥」
一生懸命、案内人は誤り続けた。
僕はちらっと案内人を横目で見た。
「けど‥?」
続けるように案内人が問いた。
僕は勇気を振り絞って、逆に問いかけた。
「じゃあ‥さっきの悪魔は一体、なんなんだ?」
黙り込む案内人。
しかし、案内人は服をするっと脱ぎ、右肩を見せた。