Mirror World
中からは穏やかな少年が出迎えた。
抹茶色の帽子が一段と少年を賢く見せた。

「相変わらずだな‥。こいつは帽子屋だ」
「初めまして、優兎です」
「改めて。帽子屋だよ、宜しくね」

眩しい笑顔を零し、帽子屋の手を握った。

長い指。僕より年上。
やはり「変わった人だね」と軽々言われた。
‥君たちが変わってるのでは?
最初はそう信じていた。こんな間抜けなことで頭を回転させながら。

「まぁ、みんなでお茶でもしようよ。ね?」

帽子屋は時計屋に華やかな笑顔で押し付けていた。

「しょーがねえな。ちゃんと仕事しろよ」
「有難う。じゃあ、優兎たちは庭に行って」

強制的に時計屋と共に、大きな窓の外へ蹴り出された。
なんと、店の外から見えていた花々が彩られていた。
種類は数え切れない程。
僕はうっとりするほど見とれた。

「オイ、触ると殺されるぞ」
「あ、ごめん」

時計屋は白いガーデニングテーブルの椅子に座っていた。
殺される‥あの優しい微笑みから考えられない。
輝く日差しを浴びながら帽子屋を待った。
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