鬼遊び

下見



外に出るとホロよりも一回り小さい山犬がいた

「すまないなノラ」


「いいのよー!ミックスちゃん大好きだもの!あら、見ない顔じゃない」


ミックスちゃんってハクのことかな?


「クンクン。よそ者じゃない?」

俺や蓮司の臭いを嗅ぐ仕種を見せるノラ


「ちとばかし訳ありでな。あまり深くは聞かんでくれ」

「ミックスちゃんが言うならしょうがないわね」

「恩に着るよノラ」

「さて、私はどの子を乗せたらいいかしら?」


「レンジとユキを頼む。私とヨシトはホロに頼む」


俺はどうやらハクといればいいらしい


「お嬢ちゃん達ね。乗ってちょうだい」


「早く乗れ小童」

すでに乗っているハクの後ろに乗る

「しっかり掴まっておるのだぞヨシト」


ハクの言葉と同時にホロが走り出した


え、うそ
めっちゃ速い!

飛ばされないようハクにしがみついた










しばらくすると街が見えてきた


街に入る前に俺達はホロから降りた

ホロもノラも人型になり二人も茶色い布の羽織を羽織った


「なぁ、こんなにコソコソしてたら怪しまれるんじゃねーのか?」

俺が考えていたことを代弁するかのように言う蓮司

「案ずるなこの身なりなら街にウジャウジャおるわ」


そう言ってハクはスタスタと街へ入って行った。

ハクの言う通り茶色いマントに身を包んだ奴らがたくさん歩いている

想像していたよりも人はたくさんいて、まるで城下町のようだった。




「なあ、どこに行くんだ?」


「鍛冶屋だ。丸腰で生活なんでできるわけなかろう。食われてしまうぞ。正体がバレれば尚更な。」


蓮司の言葉に視線を動かさず答えるハク

「お嬢」

「わかっておる」


ホロがハクに何か耳打ちをする。


「つけられておるな。3人。下賤の輩か。気をつけろよ。隙を見せればすぐに食われる」


小さい声で言うハク。
声を荒げようとする蓮司に気づいてハクは黙らせる。
どんどん人の少ない道に入っていくハクに少し不安になる。


ピタリと足を止めて後ろを振り返った。


「出てこい。話くらいは聞いてやろう。」


その言葉に数人の子供が出てきた。


「お嬢。こいつら…」


「案ずるな。何が目的だ。私たちをコソコソつけたところで何もないぞ」


「おねーさんたち、僕らのママを知らない?」


迷子なのか。子供達は親を探しているらしい。悲しげな顔で問いかける。そして一歩ずつ近づいてくる。


「知らぬな。すまないが他を当たれ。」


「そっか…知らないんだ。」



子供達は俯き、声が小さくなる。


「ヨシト、私が合図を出したら全員でそこの小道から大通りへ出ろ。振り向くなよ。」


「え、なんで…」


「おねーさんたち森から来たんだよね。町の者じゃない…。いなくなっても…誰も探さないよね…フフフフフフ」



悲しげにしていた子供達は何かブツブツ言って笑い出した。何がどうなってるんだ。


「厄介な奴らにつけられたものだ。………走れ!」



ハクの言葉と同時に子供達が俺たちに向かって走り出した。


驚きのあまり足がすくむ。


「何をしておる!さっさと走れ!」


「こっちよ!チルドレン!早くしなさい!」


ノラの言葉に我に帰る。俺は2人の手を引いてハクに言われたとおり小道を走った。


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