鬼遊び
「そうだったんだ・・・すみません。」
「謝るな!名付けることなく呼び名を付けることは簡単だ。その名を浸透させなければ良い。それに、私が名だと認めなければ名にはならぬ。さて、何回なと言っただろうか?」
「いきなりクイズ!?えっと、」
「12回です!」
「やるなユキ!正解だ」
「おい。何でクイズになってんだよ」
「レンジはお堅いな」
「お嬢が雑なんだ」
「ハハハッ。それもそうだな。話を戻そう。つまりだ、貴様等がなんと呼ぼうが勝手というわけだ!」
「ハク。」
「?吐くのか。ここでは吐くなよ。外で吐け」
「いや、そのハクじゃないから。俺は貴女のことハクって呼びます。白銀に光る髪を見て思いつきました」
「ピッタリです!さすが義仁さんですね!」
「悪くないと思うぞ義仁にしては」
「おい、蓮司。最後の余計な言葉は抜けよな」
「ハクか。悪くない響きだ。まあ、良い。これで呼び名で困ることはないだろう。」
ハクっていうのは白銀のハクでもあるが漢字にしたら白。
彼女は純粋に心が白いような気がした。
純白のイメージだ
安直だと言われれば確かにそうだが、これ以外にピンとくる名前も考えられない。
「さあ、次は条件についてだ。私のために動いてもらいたい」
「何をすればいいんだ」
「王宮からペンダントを盗んでほしい」
「お嬢!?まさか・・・!」
「盗むって!?」
「盗みはよくないですよ!」
「言い方を変えよう。取り戻してほしいんだ」
「どういうことだ。」
ハクの出す条件とやらはどうやら複雑で難しいらしい
王宮には国王がいて、警備だって甘いはずがない。
しかし、ハクにとっては大切なペンダントらしい
詳しいことは教えてくれないけど
ペンダントを盗み出すことによって俺達の帰る手伝いにもなるって言ってた
不信点が多過ぎる約束。
本当に帰る手伝いをしてくれるのか。それさえも定かではないし、盗み出すペンダントは本当にハクの物なのかも疑わしい。
しかし、この世界は俺達が今まで暮らしてた世界とは勝手もルールも違うはずだ。
今は、ハクを信じよう。