あなたを愛した(完)
「……ありがとう、紗江。お前のことは忘れ……な、い……」
声も出えへんのやろう。
和人の口は動くばっかりで言葉になって聞こえへん。
和人もそれに気い付いたから、黙ってあたしを見つめてくれたんやけど……。
その優しい光宿した瞳が、妙に寂しい見えるんや。
「和人、あたし……」
手とかサクラが透けて見えるだけやのうて、あたしの手が和人の身体に埋め込まれるようにして入ってく。
溶けて柔らこうなってたんやろか。
和人はちょっと痛そうやったけど、それでも笑ってる。
……寂しそうに、優しゅう。
「あたしも和人んこと、好きや。今まで言えへんかったけど……好きやねん」
さっき分かったばっかりのあたしの気持ちやけど、やっぱり言うとかなあかんよな。
っていうか、言いたいから。
和人には、和人本人には、一番言いたいし伝えときたかったし。
「……ッ」
「無理せんでええよ和人、分かる」
声になってへんけど、和人の唇が確かに“ありがとう”って言うてたから。
あたしはもう……ええ。
「あたしこそありがとうな、和人。あたしも忘れへんから、な……」
なんも見えへん。涙でいっぱいや。
透けてる和人も見えへんやん、あたし本間あほ。和人んこと見えへんやん……。
*
声も出えへんのやろう。
和人の口は動くばっかりで言葉になって聞こえへん。
和人もそれに気い付いたから、黙ってあたしを見つめてくれたんやけど……。
その優しい光宿した瞳が、妙に寂しい見えるんや。
「和人、あたし……」
手とかサクラが透けて見えるだけやのうて、あたしの手が和人の身体に埋め込まれるようにして入ってく。
溶けて柔らこうなってたんやろか。
和人はちょっと痛そうやったけど、それでも笑ってる。
……寂しそうに、優しゅう。
「あたしも和人んこと、好きや。今まで言えへんかったけど……好きやねん」
さっき分かったばっかりのあたしの気持ちやけど、やっぱり言うとかなあかんよな。
っていうか、言いたいから。
和人には、和人本人には、一番言いたいし伝えときたかったし。
「……ッ」
「無理せんでええよ和人、分かる」
声になってへんけど、和人の唇が確かに“ありがとう”って言うてたから。
あたしはもう……ええ。
「あたしこそありがとうな、和人。あたしも忘れへんから、な……」
なんも見えへん。涙でいっぱいや。
透けてる和人も見えへんやん、あたし本間あほ。和人んこと見えへんやん……。
*