つないだ小指
カタンと背後で音がした。

振り返ると結城パパが佇んでいた。

「あ、おかえりなさい。」

『郁人、パパ帰ってきたから電話切るね、この話はまたこの次にね。』


あわてて電話を切り振り返った。

今の話聞いてたよね、どう思ったかな。

いつも優しい結城パパ、6歳の頃から娘のように接してくれた。

ママの亡くした後もここに黙って置いてくれた優しいパパ。

家族になろうと言ってくれたパパ

呆れたかな、

嫌われちゃうのは身が切られるほど辛い。

でも、 このまま甘え続けるのがおかしいと思ってしまった今、

私は、自分で話しをしなくては前には進めない。



パパは、食卓に座り、夕食に手をつけ始めている。

「ス-プ温めますね。私も途中だったんです。一緒に食べていいですか?」

「いや、このままでいい。菜々美ちゃん少し話そう。座って。」

「はい。」

「悪いな、話聞いてしまったよ。」

「いえ、聞かれて困る話はしていません。」







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