つないだ小指

結局、そのまま契約して不動産会社でカギをもらった。

三人で昼食をカフェでとることにした。


「いつ引っ越すの?」


「まあ、少しずつ買いそろえていこうかなと思ってる。

 今まで使っていたのは、結城の家にあったものだったし、

 私のものはあまりないの。」


「そうか、気がつかなかった。不自由したんじゃないか。」

郁人が眉を下げる。


「まさか、皆高価なものだったから、不満なんてなかったよ。」

あわてて、返す。


「ならいいけど、じゃ、これから家具とか見に行く?」



あたし、これから実験の残務整理に会社行くのよ。」


ちらりと春日をみる。


無言でパスタを食べていた春日が、


「やっといたから、行ってこいよ。今日は残務なしでいい。

 郁人も来てるんだから。」


「サンキュー春日。菜々美は俺に冷たすぎじゃないのか。」


「連絡しないでくるからでしょ。」

頬を膨らませる。


「ごめん冗談だよ。家具見に行こう。特にベッド♪。」


「郁人のえっち!春日がいるのに何言ってんのよ!!」////

< 106 / 153 >

この作品をシェア

pagetop